全くの私事で恐縮だが,10年前の今日,最後(と言っても3回しか行っていないが)の洋行の途次,成田発ロンドンヒースロー空港行きJALB747-400機上にあった。
当時既にソ連邦は解体した後だったので成田から新潟を経て日本海上に出で,シベリア~ウラルを越え,モスクワ平原を横切ってカレリア地峡からフィンランド湾,そして南下して英国へ,というルートだった。
ロンドンでのトランジッドの後,スイスのチューリッヒへ向かう。
ヒースローでVTRカメラを回していたら,グランドオフィサーとおぼしき当時の私より年かさの女性に恐い顔でつかつかと駆け寄られ,VTR撮影は禁止と早口にまくし立てられたり(スチルは良いのに・・・),だだっ広い免税店を冷やかしたりして時間を潰し,いざ搭乗,と相成ったのが,British Midland Air(BMI)のボーイング737型旅客機だった。
をぃをぃ,ちょっと待てよ。
British Midlandというからには,Britsh Airways(BA)が日航に当たるとすると,かつての全日空のように国内及び近隣国へのその名の如く中短距離専門の航空会社なんだろうが(実は違っていて,A321等のエアバスも保有し,ヨハネスブルグまで飛ばしている結構大きな会社であることを機内で知った),B737って何だよ,30年以上前の機体じゃねえか・・・。
既にB727は日航も全日空も退役だから,何でそんなの飛んでるんだよ・・・。
恐いじゃないか・・・。
Swiss Airなんて,7年で退役させて新型機に替えるというのに,一体何なんだ・・・。
客席はアコモデーション改造されているようだけど,液晶TVはおろか機内放送や音楽を聴くヘッドセットはないし,テーブルもしょぼい。
こんな寸詰まりの機体で,果たしてアルプス越えできるんだろうか・・・。
・・・と思った当時の私は明らかに飛行機を知らなかった。
当時のBMIはB737のバリエーションをそれぞれ300,400,500と
三種類持っていたようだ。
ヒースローでスタンバイする737を撮った下の画像で分かるように,私の乗ったのは最も新しいB737-500だった。
つまり,その7年半後に再会する全日空の
スーパードルフィンと同機種だったのだ・・・。
ロートル健在,などといった生易しいものではない。
初期の機体設計思想が抜群だったからこそ,こうしてフルマイナーチェンジを繰り返しながら,新しい時代に対応しているということだろう。
飛行機で言えば,初飛行から60余年を経て使われたダグラスDC3とかC47といったベストセラー長寿機にその例を見ることが出来るし(わが国でも大戦中に何と零式輸送機として国産のエンジンを付けて使われた),乗用車で言えば,ついこの間までブラジルで生産されていたというVWビートルもそうである。
残念なことに,BMIではこのB737を今は使用していない,との情報もあるが,前述のように全日空ではスーパードルフィンとして健在だし,日航も使用している。
さらに無知蒙昧極まりないことに,私はスイスの空港に降りるんだからアルプス越えをすると思いこんでいた。
ロンドンから西へ向かうわけだから,当然ドイツから進入することになる。
つまりドイツ特有の「黒い森(シュヴァルツヴァルト)」が切れると,そこはスイスということになる。
アルプスは南ドイツからフランスとの国境を経て,スイスとイタリアの国境を,さらにはチロルを玄関としたオーストリアとイタリアとの境から旧ユーゴまで続くのであろうから,チューリッヒに西から進入する際は,黒い森上空から,ということになる。
高緯度だけに,夏の中欧は日が長い。
夜8時のランディングにもかかわらず,周囲はまだ明るい。
自然と近代性が見事に調和したチューリッヒ国際空港に無事名機を着陸させたBMIのパイロットの技術は抜群であった・・・。
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